2009-04-22 慢性炎症性脱髄性多発神経炎の話(6)
CIDPの話、きょうは少しだけ続きを。
これまで書いたものはこちらです ↓
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)の話
第1回 CIDPってなに?
第2回 CIDP罹患~私の場合
第3回 CIDPの発症から経過
第4回 CIDP経過の続き
第5回 CIDP退院後のようす
ここ数年、突発性難聴やその関連疾患の方々にずいぶんたくさんお目にかかりました。
その中で、少なからず耳にしたみなさまのお言葉はこんな感じ。
「耳が聞こえない(または、こんなに耳鳴りがひどい)ってことは、相手から見てわからないでしょ。だからぜんぜん相手も配慮してくれないし、この辛さを周りの人たちにわかってもらえないことが、本当に辛い」
んー。。。確かに。おっしゃることには同意ですよ。
「そうですよね。辛いですよね。なかなかわかってもらえないストレスがあるでしょうね」
って、返事するかな。
自分の辛さが周囲から全く理解、共感してもらえない辛さ。
確かにそう感じる気持ちは想像できるし、納得も出来ます。
だけど、さらに極端なケースだと、こーんな話の続きがあったりする。
「耳なんかじゃなくて、もっと外から見てわかるような病気になれば良かった!」
みたいな。
「えーーーっ!!!」 (と、心の中で息を呑みつつ、じっとこらえるワタクシ・・・)
んー。。。それはきっと、、、コトバは悪いかもしれないけど、無いものねだりじゃなかろうか、って思ったりするわけです。私自身のごくごく正直な意見としては。だから、お互いにホンネで辛口で話が出来る人に対してだったら、私は自分の意地悪を承知で、こんなエピソードを付け加えてみることもあるんです。(なーんたって、私の中に脈々と息づいてるのは、ハードアスペクト魂☆だからね)
「あのー・・・ 私が昔罹った病気で、手足が動かない生活してたことあるって、話しましたっけ? あれはねー、明らかに傍から見て、動きがおかしいし、っていうか動けなくてねー。明らかに周りがびびって、萎縮してるのがわかりました。私にもいちおう若い頃ってのがありまして、当時私は二十歳そこそこのオンナだったってのに、化粧どころか、髪はぼさぼさで、お風呂もまともに入れない、洋服も自分ひとりでは満足に脱ぎ着できないし、トイレもひとりではちゃんと行かれない、食事も肘ついてイヌ食いが精一杯、だったわけなんですよ。傍から見て、明らかに病気っていうか、障害、な状態、というのも、それはそれで辛いものがあったりするわけです。それってどんなもんでしょうかしらねー?(すべて笑顔です。はい。にっこり♪)」
まぁ、、、だからなんだって話じゃないんですけどさ。
自分の立場を超えて、周りのこと、相手のこと、いろいろと想像するのは難しいものだと、つくづく痛感します。
で。
私が本当にいちばん具合悪かった頃のこと。
ベッドから起き上がるのに、かるく5分くらいかかってました。
家の中は、人目がないから、這って移動がメイン。
あとはとにかく平地をゆっくり歩くのが精一杯でした。
階段はまったく無理。ちょっとした段差でコケて捻挫してました。
でも、無理して外を歩き回ってた。もう完全に意地になってた。
どこへも行けやしない身体なのに、はるかかなたの外国の旅行ガイドブックばっかり読んでた。
腕は、まったく屈曲(内側に曲げる動き)ができなかったので、荷物は持てないし、ほとんど役に立たない。(かろうじて握る動作だけができました。動かすととにかくめちゃくちゃ痛かったけど) 買い物に行って、お金を払うのに一苦労。店員さんがまずぎょっとした顔をするんだ。そのうち、最初から財布を渡して、中からお金を出してもらうという技も覚えた。
そんなころ、駅の階段で転んだ。
下りの数段を転がり落ちた(んだったと思う)。
転んだら、今度は起きることができないんだ。
どこかの小さな子供が、不思議そうな顔をして私を見下ろしている。
一緒に居たその子の母親が言った。
「ダメよ。ダメ。見ちゃいけません!」
彼女は子供の手を引いて、急いで去っていった。
あーあ。確かに世の中そんなもんよね。
別に助けて欲しかったわけじゃない。
自分だって、そうやっていろんなものから目をそらしてる。
だけど、子供にそうやってはっきり教えるってのはどうなんだろ?
なーんて、駅の床にはいつくばりながら、ぼんやり考えていた。
まるで、、、作り話みたいでしょ?
私も自分が創作してるような気分になるんだけど、やっぱりこれは実体験。
「肢体不自由」ってコトバが意味するところを、少しずつ真剣に考え始めていました。
一生このままなのかもしれない。
だったら、どうやって生きていくのかを、前向きに考えなきゃならないな、って。
***
小さい頃の私、動物園で爬虫類館に入りたがったんだって。
私の母親は、やだなー・・・と思いつつ、小さい私を抱っこして入ったそうな。
「わぁー!ヘビさんだ!」
と、私は無邪気に喜んだんだって。
うちの母親は、「気色わるー。やだー。でもこの子にヘビは気持ち悪い、という偏見を最初から刷り込んではいけない」と思って、自分は顔をそむけながら、「そうね。ヘビさんね。長いわね。にょろにょろしてるわね」とかなんとか、必死に喋り続けたらしいよ。
この話、私とっても好きで、とっても感謝してる。
だからこんなヘンな人間に育っちゃったんだよ!とも言えそうですが・・・(2009年4月22日)
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