2008-05-21「楽しい治療」って、矛盾してるんだろうか?

「ハリって、一回行ったらずっと通わなきゃいけないんでしょ?」

と、尋ねられた。はぁー。

言っちゃあナンだが、これ、ずいぶん品のない質問だなぁ、と思った。

YesかNoでしか答えられない質問というのは、「閉じた質問(Closed Question)」っていうんだ。確かに、尋問形式みたいに特定の情報を知りたいときにはいいし、あんまり喋らない人に、とりあえず話しかけるようなときにもいい。だけどさ、私はよく喋る。おまけに鍼灸師だ。専門の話を聞かれたら、山のように喋ることがあるに決まってるじゃないか。それなのに、「通わなきゃいけないんでしょ?」という質問(の体裁を取ろうとしている決め付け型の意見表明)をされるのは、あまり気分のいいものではない。

数秒の間に、アタマの中で火花が飛び散る。思考炸裂☆思考錯誤・・・(ん???)

きっと、このとき、質問者の頭の中には、すでに「ハリにはずっと通わなければならない」という思い込みがある。それを鍼灸師の私に「はい」と答えてもらおうとすることで、自分の思い込みを補強しようとしているんだな、と私は解釈しましたよ。ふーん。本人は意識なさってるかどうかはわかんないけど、きっとそうじゃないだろうか。

要するに、短期的に治る急性腰痛とか、寝違えとかもあるし、中期的に治る五十肩とかもあるし、もっと長い目でみなきゃならない症状もあるし、生きてる限り続く「健康管理」というものもあるわけで、とにかく一言でハリ治療といっても、いろんなターゲットがあるので、「ずっと通わなきゃならない、かどうかはケースバイケースです」としか答えられないわけです。(ごく初期の突発性難聴で、タイミングが合えば、たったの1回で治るケースにいくつも遭遇してきた。そんなときには「治りました♪」って、嬉しそうにご報告をいただいて、こちらがびっくり!したりなんかする)

だけど、質問者はたまにしか会わないような親戚だ。ついつい相手の意見をアタマから否定して角が立つのもまずい。うーん、マジメに答えても骨折り損だな、と思ったところで、他の人から声がかかって話はそのまま流れた。はぁ、助かった。

あとから考えた。「治療」に対するイメージをどう捉えているかによって、ずいぶん解釈が違ってくるのだろう。現代医学の病院に行くみたいに、苦しいもの、嫌なもの、できれば避けて通りたいものとして「治療」を捉えていれば、鍼灸院に行くことも、やっぱり嫌なことだと思うようになるにちがいない。それとか、いままでどこかの治療院に行ったら、商売っ気がお強い大先生だったりして、ずいぶんカモられたことがあるんじゃないの?とかいう想像も働いたりする。

いまひとつは、「ハリに行っても、そのあとしばらくはよくても、効果は長持ちしないから、結局通わなきゃならない。=クセになる」という解釈が世の中には結構根強くあるということ。しかしねー、こういうこと言う人は、長年の疲労やら不摂生とか、老化(加齢に伴う変化とでも言いますか)で出てる症状を、1回で半永久的に取り去れ!なんて意図の要求をなさったりなんかしがちで、そりゃぁ、無理だよ、と言いたい。ちょっとでも楽になったら、良かったじゃないの!と思うんですが、それではどうももの足りないらしい。まぁ、その気持ちはわからないでもないですがね。実際に自分でやってみると、一回で半永久的に永続する効果なんて、大変難しいとわかった。人間って欲深いですね。

閑話休題

ここのところ、私自身がお世話になってる治療院がある。4月にオープンしたばかりで、覗きに行ったらすっかりファンになってしまった。綺麗だしお洒落だしイマドキ風、雰囲気も明るくて爽やか。そんなソフトムードなんですが、技術はむちゃくちゃ硬派で信頼できまする。

ここね ↓ 御茶ノ水のリスタイルさん。お勧めです☆☆☆

Re:style (リスタイル) http://restyle.moo.jp/

おかげさまで、とっても助かってます。まだお若い格闘家の院長先生(超!立派な腕にびっくり)と、海の似合うナイスガイな主任(私と鍼灸学校時代の同級生なのだ)のお二人はイケメンさん。女性スタッフは若くて可愛くて優しいです。

いつもホントにありがとう (^_-)-☆

もちろん私もニンゲンなので、あまりにも忙しいと疲れるのです。だからといって、あまりにも自分のエネルギーが低下した状態で他人様に触れてお金を頂くのは忍びない。だから、ベンキョーも兼ねて、結構あっちこっち行きます。「へぇー!」と勉強になったり、施術者の愚痴やら人生相談を聞く羽目になって、どっちが患者なんだかわけわからん状態に陥ったり・・・(何度もありますなぁ。特に無資格系の各種マッサージの若い女性施術者のとき)なんやかんやとおもしろいです。

病院はよほどのことがないと行きません。でも、私は鍼灸院とか、各種療法の「治療」は楽しく受けたいし、「行って良かった♪」「ここに来ると元気が出ます!」というところだったら、定期的に行って、元気になれるようなサポートをしてほしい。そういう試みを続けていれば、疲れを溜め込みすぎて、大病になったりしないで済む。

でもね、決して安くはないお金を払って、貴重な時間を使って行くのだから、それだけの何かを得て帰りたいと思ってます。だから、自分も、自分のところに来てくださる方々に、そういう「何か」を提供できてるかどうか・・・いつも厳しくチェックしなければいけないなぁ、と思ってます。

だからよけいに、「ハリにはずっと通わなきゃならない」なんて、そんなネガティブな気持ちでおいでになられてたら、大変辛い。そう思うのですよ。

鍼灸・手技セラピーたまゆら

【2021年末に閉業】 2004年5月の開業より、たくさんのご愛顧ありがとうございました。これからもみなさまのご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。