2006-03-29「こころ」と「からだ」のつながり(その1)

今を去ること●●年前の20歳のとき、私は両手両足が麻痺して動けなくない生活を1年近くにわたって経験しました。だいたい3ヶ月くらいかけて徐々に動けなくなっていったのですが、強情な若者(・・・)だった私は、その症状を回りに隠し通し、階段が昇れなくなり、お箸が持てなくなったくらいで、慌てた周囲に病院に連れていかれたのでした。

病院ではさんざんあれこれ検査を重ね、結局医師からもらった病名は「慢性炎症性脱髄性多発性神経炎」でした。確か。それからは、ずいぶんいろんなことがありました。再び元通りに動けるようになるまでには、ずいぶん苦しい目にもあいました。

それでも、今ではこうして手先を使い、身体を動かす仕事に就いているくらいで、ふだんはもうすっかりそんなことは忘れています。ただし、多くの人が無理な生活が続くと、自分の弱点となる部位に症状がでてくるように、私の場合も、あまりにも過労の状態が続くと、どうやら両手両足が痺れてくる傾向がある、とは言えるようです。まぁ、これは自分の身体が発する警告サインであり、そのメッセージをきちんと受け止めないといけないとは、ときどき思い出してみるわけです。(なにしろ、そんなことをふだんから他人様に申し上げているわけですから!)

さて、私は現在「鍼灸師」として仕事をしていますが、そもそものきっかけは、自分が以前、そのような形の病気体験をしたことによって、「病む」って何だろう?という素朴な疑問に向かい合わざるを得なくなったからでした。そして、これはもう、きっと、これから先もずっと考えていかなければならない、私にとってのテーマだと思っています。

そんな中、手探りであれこれ試行錯誤しています。みなさまにお目にかかる日々の仕事は、決まったパターンを繰り返すだけのルーティンワークではありえない、一期一会のライブな実践研究でもあります。また、「からだ」も「こころ」も両方あってこその「人間」でしょ?! と繰り返し唱えている私を、何とも懐深く入学させてくれた大学院の臨床心理専攻では、いろいろなところで「身体の治療する人が心の勉強もするんだー」などと珍しがられながらも、さまざまなことを学び、2006年の3月には、ついに修了証まで頂戴することができました。

そんなこんなで、2006年中には、もともと「鍼灸師」がベースである私が、小児科クリニック内の心理相談室に勤務するという機会にも恵まれました。今年は鍼灸師としての仕事時間が減りましたが、心身症的な状態の子供、不登校の子供などなど、ふだん鍼灸院では決してお目にかかれない子供たちにたくさん出会ってきました。そうした経験から、また新しく、この先の臨床に生かせるいろんなアイデアが生まれてきそうです。

続きはまた、そのうち。

※ なお、当室での施術内容はこれまでどおりに変わらず、鍼灸&指圧です。ときどきカウンセリングのみ希望のお問い合わせがあるのですが、お受けできかねますのでご了承ください。(2006年3月29日)

鍼灸・手技セラピーたまゆら

【2021年末に閉業】 2004年5月の開業より、たくさんのご愛顧ありがとうございました。これからもみなさまのご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。